2009年2月1日日曜日

ブギーポップは笑わない(小説)

 上遠野浩平の代表作、出世作にして、電撃文庫の出世作。今でこそ元気な電撃文庫だけど、それもこの作品あってのことだと思うんだ。どうでもいいけど。

 上遠野浩平――個人的には超がつくほどメジャーだと思うんだけど、同世代(19から21くらい)に聞いてみたら意外に知られていなくてビックリだったり。ホラ、アレですよ、西尾維新と奈須きのこの親分みたいなもん、とか説明してますけどね。でも、それだけじゃなく、その後のライトノベルのみならず、オタク系サブカルチャーに強い影響を与えた作品であることは間違いない……のかな?

 肝心の内容。
 舞台は学園。エコーズ、マンティコア、ブギーポップという怪人と、思春期の少年少女の心が交錯する、みたいな感じ。
 怪人みたいなのが出てきたり、いきなり「世界の危機」とかいう言葉が出たり、時系列バラバラにしたりと、当時としては斬新だったけど、今では手垢にまみれている感じ。それだけ模倣者が多いということだけど。いわゆるセカイ系のはしりの一つですが、今でいうなら厨二病とかいわれるんでしょうか。
 文章も僕がいえたことではないですが、未熟なものです。後輩に読ませたら顔をしかめていました。
 これだけなら、ただツマラン小説です。ただ、初めて読んだとき、読んだ後、何かが残ったんですよね。なんおかこー「あー、そうだね」とか、「だよなー」という感覚が。じんわりと胸にしみるんですよね、コレ。そして、コレがあるからこそ、この小説が後続するセカイ系の中でも燦然と輝いているんです……僕の中で。
 でも、この作品、今読んだら当時ほどの感動はないだろうな。というのも、この作品初めて読んだの、ちょうど高校生のときだったんですよ。だからこそ、いろいろ思うことがあったんですよね。しかし、今はもういろいろとアレだし、読み返しても「あー懐かし」くらいの感想しかないかも。それが怖くて読み返してないんですけどね。当時は散々読んだくせに。また、人によっちゃ、僕の後輩みたいに顔しかめるだけかも。物事を真正面から捉える人は特に向いていない気がする。
 中高生限定。しかも極一部。こう考えると、あまり大したことない作品のようだけど、いいじゃん、当時は感動したんだし。そういうの、大事だと思うな、うん。

 このブギーポップ、シリーズ化されていて、かなりの数があります。でも、「あーうん、わかるわかる」とツボにはまるのはその中の幾つかだけだったり。イマジネーターとか、ペパーミントとか。夜明けも好きだな。でも、ジンクス・ショップは特になんとも思わなかった、とか。個人差はあるだろうけどね。

 ちなみに、このシリーズまだ現役です。思い出したときにポツリと出てたりします。過去の実績が実績だから平積みされているけど、うちの近所ではあまり売れていないご様子。読んでいる限り、完結の予定はなさそう。
 僕は作品は必ず完結させるべきだと思うんだけど(ブリーチたナルトが嫌いなのもそこら辺に理由があったり)、ブギーポップは別。なんかこー、ベッドに寝そべってセンベイでも囓りながら、だらだら続いてるのもいいじゃん、と手をヒラヒラさせるような感じ。自分でもよくわからんけど、こういう作品は貴重だよな、うん。


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